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#組織・働き方#マネジメント#エンゲージメント

テレワーク時代のマネジメント術|信頼構築と成果管理の両立

2026.01.10

テレワーク時代のマネジメント術|信頼構築と成果管理の両立

「部下がちゃんと働いているか不安」「チームの一体感が薄れた」「孤立感を訴える社員がいる」——テレワークが定着した現在、これらは多くのマネジャーが共通して直面する悩みです。パーソル総合研究所の調査(2023年)では、テレワーク実施者の約30%が「コミュニケーション不足」を課題として挙げています。問題の根本は「テレワーク」ではなく、オフィスワーク前提のマネジメントをそのまま使い続けていることにあります。

テレワークがもたらしたマネジメントの本質的変化

オフィス勤務では「見えていた」情報——部下が何時に出社し、誰と話し、どんな表情で仕事しているか——が、テレワークでは失われます。この「可視性の喪失」がマネジャーに不安をもたらし、「監視型マネジメント」への回帰を引き起こします。

しかし根本的な問いは「どうやって管理するか」ではなく、「そもそも何のために管理していたのか」です。プロセス管理(何時間働いたか)から成果管理(何を達成したか)への転換が、テレワーク対応の核心です。

もう一つの変化は「非公式コミュニケーションの消失」です。廊下での雑談やランチ中の相談は、テレワークでは意図的に設計しないと消えます。その欠如はチームの心理的安全性と帰属意識を静かに侵食します。

なぜ「監視型」マネジメントはテレワークで機能しないのか

ダグラス・マクレガー(Douglas McGregor)は1960年の著書「The Human Side of Enterprise」でX理論とY理論を提唱しました。

X理論: 人は本来怠け者で、監督されなければ働かない。管理・統制が必要。

Y理論: 人は条件が整えば自律的に働き、責任を求め、創造性を発揮する。

テレワーク環境でPCの操作ログを監視したり、30分ごとに進捗報告を求めたりする「監視型」はX理論に基づいています。この手法の問題は、監視されていることを知った社員が「監視をかいくぐること」に注力し始める点です。外発的な統制は内発的な動機付けを破壊します(「アンダーマイニング効果」, Deci & Ryan, 1985)。

Y理論に基づいた信頼型マネジメントは、「目標を明確に示し、達成の手段と権限を委ねる」ことで部下の自律性と責任感を引き出します。テレワーク環境では、この信頼型への転換が不可欠です。

リモートチームの信頼構築5つの仕掛け

1. 定期的な1on1で「人と人」の接点を維持する

週1回または隔週の1on1は、テレワーク環境で上司が部下の状態を把握する最重要チャネルです。業務報告ではなく「最近どうですか?何か困っていますか?」という対話の場として設計します。

2. 成果ではなく「プロセスの透明化」を求める

「今日何をしたか」の報告より、「今週の進捗と来週の予定」を共有する非同期の仕組みが有効です。Notionや社内Wikiに各メンバーが週次で作業ログを書くことで、上司はリアルタイム監視なしに仕事の流れを把握できます。

3. 雑談チャンネルとバーチャル雑談タイムを意図的に設ける

SlackやTeamsに「#雑談」「#coffee-chat」などの非公式チャンネルを設け、マネジャーが率先して投稿します。週に一度、業務外の話ができる15分間のオンライン雑談タイムを設定するだけで、帰属意識の低下を防ぐ効果があります。

4. 非同期での称賛・承認の文化を作る

「#kudos(称賛)」チャンネルを設けてチームメンバーの貢献を可視化したり、週次ミーティングで「今週感謝したこと」を共有したりする文化が、承認欲求を満たしエンゲージメントを維持します。

5. 非同期コミュニケーションのルールを明文化する

「Slackは24時間以内に返信」「緊急は電話」「18時以降のメンション禁止(緊急除く)」などルールを明文化することで、常時接続プレッシャーと心理的な圧迫感を減らします。

成果管理の設計:OKRと非同期コミュニケーション

テレワーク環境での成果管理ツールとして有効なのがOKR(Objectives and Key Results)です。インテルのアンディ・グローブが考案し、GoogleのジョンドーアーがGoogleに導入して世界的に広まった目標管理フレームワークです。

O(Objective:目標): 定性的で意欲的な目標(例:「顧客体験を業界ナンバーワンにする」)

KR(Key Results:主要成果): 目標達成を測定する定量的な指標3〜5つ(例:「NPS(顧客推奨度)を35から50に上げる」「サポートの初回解決率を80%にする」)

OKRの特徴は「達成率60〜70%が理想」という考え方です。100%達成できるOKRは目標設定が低すぎます。テレワークでのOKR運用では、毎週の進捗確認(チェックイン)を15分程度で行い、週次で状況を把握します。

適性検査でリモート適性を把握・活用する

テレワーク環境で活躍しやすい人材の特性として、「高い自律性」「良好なコミュニケーション能力」「自己効力感の高さ」が挙げられます。一方、「外向性が高い(対面の刺激を必要とする)」「構造化された環境を好む(指示待ち傾向)」「社会的孤立感を感じやすい」特性を持つ人材は、テレワーク環境でパフォーマンスが下がるリスクがあります。

適性検査データを活用することで、テレワーク配置時のリスクを事前に把握し、適切なサポート設計ができます。例えば、社会的孤立感を感じやすい特性の部下には1on1の頻度を上げる、指示待ち傾向の強い部下には週次でより詳細なOKRチェックインを行うといった個別対応が可能です。

まとめ

  • テレワークでの課題の本質は「管理の手法」ではなく「プロセス管理から成果管理への転換」の遅れにあります
  • マクレガーのY理論(人は条件が整えば自律的に働く)に基づく信頼型マネジメントへの転換がテレワーク環境では不可欠です
  • 定期1on1・プロセスの透明化・意図的な雑談設計・OKRによる成果管理の4本柱が実践の核心です
  • 適性検査データでリモート適性を把握し、自律性が低い人材・孤立感を感じやすい人材への先手のサポートを設計します
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