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#組織・働き方#ダイバーシティ#組織開発

ダイバーシティ&インクルージョンの進め方|具体施策と効果測定

2025.10.30

ダイバーシティ&インクルージョンの進め方|具体施策と効果測定

D&Iが業績に与える影響:データで見る現実

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)は、社会的義務として取り組まれることが多いですが、経営パフォーマンスとの関係が明確になっています。

McKinsey「Diversity wins」(2020)の調査では、ジェンダー多様性上位25%の企業は下位25%の企業と比べて収益性が21%高く、民族・文化的多様性上位25%の企業は36%高いという結果が示されています。多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まることで、意思決定の質が上がり、市場変化への対応力も高まるためです。

日本企業の状況は依然として課題があります。厚生労働省「令和5年版働く女性の実情」によると、女性管理職比率は12.7%で、欧米主要国(英国35%・米国41%)と大きな差があります。この差を縮めることが、日本企業の競争力回復につながります。

ダイバーシティとインクルージョンの違い

D&Iの実践で最初に理解すべき概念の整理をします。

ダイバーシティ(多様性): 組織の中に異なる属性・経験・視点を持つ人材が存在する状態。ジェンダー・年齢・国籍・障害・性的指向・育児・介護状況などが含まれます。

インクルージョン(包摂): 多様な人材が力を発揮できる環境・文化・仕組みが整っている状態。多様性を採用しても、発言しにくい・評価されない・昇進できないという環境では「いるだけ」になります。

「ダイバーシティはパーティに招待されること、インクルージョンはダンスに誘われること」という比喩がよく使われます。多様な人材を採用(パーティへの招待)しても、インクルージョンがなければ価値が生まれません。

具体施策:何から始めるか

D&I推進は「全部やろうとして何も変わらない」ことが多いです。優先度をつけて取り組む必要があります。

フェーズ1:実態把握(0〜3ヶ月)

まず自社の現状データを把握します。

収集すべきデータ:

  • 性別・年齢・雇用形態別の従業員数
  • 管理職・部門長の属性分布
  • 採用・昇進・離職の属性別比率
  • 育児休業取得率(男女別)
  • エンゲージメント調査のスコアを属性別に分解

これらを見える化するだけで、「女性の採用比率は40%だが管理職は8%しかいない」「育児休業取得後の女性の離職率が高い」という課題が浮き上がります。

フェーズ2:インクルージョン阻害要因の除去(3〜12ヶ月)

データから特定した問題に対し、環境・制度の改善から始めます。意識改革より先に「仕組みを変える」方が効果的です。

具体的な施策例:

  • 育児・介護との両立支援: 保育施設補助・短時間勤務制度・在宅勤務の拡充
  • 採用プロセスの公平化: 履歴書の氏名・写真を匿名化した書類選考(男女ジェンダーバイアスを排除)
  • 昇進基準の明文化: 「なんとなく評価される」仕組みを改め、昇進要件を具体的な行動指標で定義する
  • アンコンシャスバイアス研修: 「無意識の偏見」を認識するための管理職向け研修。採用・評価場面での偏見を自覚させることが目的

フェーズ3:インクルージョン文化の醸成(12ヶ月〜)

制度を整えた後は、日常の職場文化に「多様な声が歓迎される」という雰囲気を作ります。

心理的安全性との関係: インクルージョン文化の核心は、異なる意見・視点が安全に表明できる心理的安全性です。多様性があっても、「変わった意見を言うと浮く」という文化では多様性が活きません。

アライシップ(支援者)の育成: マイノリティ属性を持たない社員が積極的に支援・発言する「アライ」となることを奨励します。特に管理職・経営層のアライシップ行動(例:ダイバーシティ会議でマイノリティの発言を積極的に引き出す)は文化形成に大きく影響します。

適性検査とD&Iの接点

適性検査は、D&I推進の場面でも活用できます。

採用・昇進における「印象バイアス」を減らすために、適性検査の客観的データを評価プロセスに組み込むことで、「なんとなくこの人が気になる」という主観的判断の影響を下げることができます。

また、多様なチームで共同作業をする際に、各メンバーの適性検査の「コミュニケーションスタイル・意思決定の傾向」を共有することで、スタイルの違いを「性格の問題」ではなく「特性の違い」として理解できます。文化的背景の異なるチームでは、特性への理解が相互尊重の基盤になります。

KPI設定と効果測定の方法

D&I施策の効果を測定するには、定量KPIと定性指標を組み合わせます。

定量KPI(例):

| 指標 | 現状 | 目標(2年後) | |-----|-----|------------| | 女性管理職比率 | 8% | 20% | | 男性育児休業取得率 | 12% | 50% | | 中途採用の多様性スコア | — | 国籍・バックグラウンド多様化 | | 属性別エンゲージメント差 | 女性-15pt低い | 差10pt以内 |

定性指標:

  • エンゲージメント調査の「多様性・インクルージョン」設問スコア
  • 社員インタビューやグループインタビューでの「声が届く感覚」の確認
  • 管理職の360度フィードバックに「包摂的なコミュニケーション」項目を追加

KPIは経営会議で定期的に報告することで、「人事の活動」ではなく「経営上の取り組み」として位置づけることができます。

まとめ

  • McKinsey調査でジェンダー多様性上位25%の企業は収益性21%高く、民族多様性上位25%は36%高い
  • 日本の女性管理職比率は12.7%で欧米と大差あり、改善余地が大きい
  • 施策の優先順位は「実態把握→制度改善→文化醸成」の順で進める
  • インクルージョンは意識改革より先に仕組みを変えることで効果が出やすい
  • KPIは女性管理職比率・育児休業取得率・属性別エンゲージメントスコア差で定点観測する
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