育児・介護休業法の改正ポイント:2022〜2025年
育児・介護休業法は近年、段階的に大きく改正されています。人事担当者は改正のポイントを正確に把握し、社内制度を法令に合わせて更新する必要があります。
主な改正内容(2022年以降):
| 施行時期 | 主な改正内容 | |--------|-----------| | 2022年4月 | 育児休業取得意向確認の義務化(妊娠・出産の申し出時) | | 2022年10月 | 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設。育児休業の分割取得可能に | | 2023年4月 | 1,000人超の企業に男性育休取得率の公表義務化 | | 2025年4月 | 子の看護休暇の対象年齢拡大(小学校入学前→小学3年生修了まで) |
「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる制度です。通常の育児休業とは別に取得でき、2回まで分割可能です。
男性育休取得促進の実務
厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」によると、女性の育休取得率は80.2%に対し、男性は17.13%にとどまっています。男性育休の取得率が低い背景には「職場に取りにくい雰囲気がある」「業務の引き継ぎが難しい」という理由が上位に挙がっています。
義務化された「意向確認」の実施方法
2022年4月から、妊娠・出産の申し出があった際に、育児休業取得の意向を確認することが義務になりました。確認のタイミングは「妊娠・出産の申し出をした後、できるだけ早期」が望ましく、面談または書面で行います。
意向確認の際に伝えるべき内容:
- 育児休業の種類・取得日数・分割取得の可否
- 社内の申請手続き・締切
- 育休中の給付金(雇用保険からの育児休業給付金:最初の180日は67%・それ以降は50%)
取得しやすい職場環境づくり
「制度はある、でも取れない」という状況を防ぐには、管理職の意識と業務の仕組みを変えることが必要です。
- 経営トップ・上位管理職が率先して「取ることが当然」というメッセージを出す
- 育休取得者が出ることを前提にした業務分担・引き継ぎマニュアルを整備する
- 育休取得者の業務を担当する他の社員への「カバー手当」を設ける企業もある
1,000人を超える企業では男性育休取得率の公表が義務化されていますが、それ以下の企業でも採用ブランディング上、取得実績の開示が差別化ポイントになります。
職場復帰支援プログラムの設計
育休から復帰する社員が「元の職場に戻れた」ではなく「活躍できる職場に戻れた」と感じられる体制が、復帰後の定着と生産性に直結します。
復帰前のフォローアップ
育休中に職場情報がゼロになると、復帰時の不安が大きくなります。育休中でも「定期的な情報共有メール」「復帰前面談(復帰3ヶ月前・1ヶ月前)」で接点を保つことが有効です。ただし、育休中の業務対応・連絡を強制することは「不利益取り扱い」になる可能性があるため、本人の同意を得たうえで行います。
復帰直後の業務負荷設計
復帰直後に休職前と同じ業務量を担当させることは、特に時短勤務者にとって過大な負荷となります。復帰後30〜60日は「業務の絞り込み期間」として設計し、徐々に業務範囲を広げる計画を立てます。
キャリア継続の見通しを共有する
復帰後に「時短勤務のまま昇進できるか」「フルタイムに戻さないとキャリアが止まるか」という不安を持つ社員が多くいます。復帰前面談でマネージャーが「今後のキャリアの見通し」を具体的に話すことが、長期定着に効果的です。
介護休業の制度概要と実務上の注意点
育児休業に比べ、介護休業は取得率が低く制度の認知度も低いですが、従業員の高齢化が進む中で今後重要性が増します。
介護休業は、要介護状態の家族1人につき通算93日(3回まで分割可能)取得できます。ただし、介護休業は「介護のための調整期間」として設計されており、「要介護者の状態が安定するまでの期間」に対応します。
介護を抱える社員への支援のポイント:
- 在宅勤務・短時間勤務・フレックスタイム制を活用できる環境を整える
- 「介護が大変になってきた」というサインを管理職が見逃さず、1on1で相談できる関係を作る
- 自治体の介護保険・地域包括支援センターの活用方法を会社の相談窓口で案内できるようにする
適性検査の活用:復帰後の個別支援設計
育休・介護休業からの復帰後は、以下のような場面で適性検査の結果が役立ちます。
神経症傾向が高い社員は、復帰後の環境変化に強いストレスを感じやすいため、最初は業務量を抑えつつ週1回の1on1でメンタル状態を確認することが有効です。誠実性が高い社員は「早く元の状態に戻さなければ」と自分に高い基準を求めやすいため、「ゆっくり戻って構わない」と明示的に伝えることで、プレッシャーを和らげることができます。
まとめ
- 2022年10月から産後パパ育休が創設。育児休業の分割取得も可能に
- 男性育休取得率は17.13%(令和4年度)。意向確認義務化と職場環境改善が課題
- 復帰支援は「復帰前面談(3ヶ月前・1ヶ月前)→復帰後業務絞り込み→キャリア見通し共有」の流れで設計
- 介護休業は通算93日(3分割可能)。高齢化に伴い今後の重要性が増す制度
- 適性検査の神経症傾向・誠実性スコアを活用し、復帰後の個別フォロー計画を立てる
