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#労務#人事の法律#勤怠管理

労働基準法の基礎知識まとめ|人事が押さえるべき重要条文

2026.02.10

労働基準法の基礎知識まとめ|人事が押さえるべき重要条文

「知らなかった」では済まされないのが労働基準法違反です。厚生労働省の「定期監督等の実施結果(令和4年)」によると、労働基準監督署が実施した定期監督で、何らかの法令違反が見つかった事業場の割合は64.4%に達しています。違反件数が多い項目は「労働時間(残業代未払い含む)」「就業規則」「割増賃金」です。本記事では、人事担当者が最低限把握すべき労働基準法の重要条文を体系的に整理します。

労働基準法の基本構造と最低基準原則

労働基準法(昭和22年法律第49号、1947年施行)は、労働者の労働条件の最低基準を定めた法律です。最重要の原則は第13条「最低基準の原則」です。

労働基準法第13条:「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」

つまり「残業代は払わないという契約でも可」「有給は付与しないという合意でも可」という就業規則・労働契約は、法律上無効であり、法律の基準が自動的に適用されます。労使間の合意があっても、法定基準を下回ることはできません。

労働時間・休日・割増賃金の条文整理

法定労働時間(第32条)

1日8時間・1週40時間が原則です(特例事業場は1週44時間)。この時間を超えて労働させる場合は、第36条の36協定(時間外・休日労働に関する協定)の締結と労働基準監督署への届出が必要です。

2019年施行の上限規制(第36条改正):

  • 原則:時間外労働は月45時間・年360時間以内
  • 特別条項:月100時間未満(休日労働含む)・年720時間以内・月45時間超は年6回まで
  • 建設業・運送業・医師等は特例あり(2024年4月から規制対象に順次追加)

違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(第119条)が科されます。

割増賃金(第37条)

法定労働時間を超えた場合・休日・深夜に労働した場合、以下の割増率で賃金を支払う義務があります。

| 区分 | 割増率 | |------|-------| | 時間外労働(月60時間以内) | 25%以上 | | 時間外労働(月60時間超) | 50%以上(2023年4月から中小企業も適用) | | 休日労働(法定休日) | 35%以上 | | 深夜労働(22時〜5時) | 25%以上 | | 時間外+深夜 | 50%以上 | | 休日+深夜 | 60%以上 |

月60時間超の割増率50%は2010年から大企業に適用され、2023年4月から全企業規模に拡大されました。中小企業で対応が遅れているケースが多いため、要確認です。

休日・休憩(第34・35条)

第34条:労働時間が6時間超は45分以上、8時間超は1時間以上の休憩が必要です。第35条:毎週少なくとも1回の法定休日を与える義務があります。完全週休2日制は法定要件ではなく、就業規則で週休2日と定めた場合にその日が所定休日として扱われます。

2024年4月施行:労働条件明示ルールの改正ポイント

2024年4月1日施行の省令改正により、労働契約締結・更新時の明示事項が拡大されました(労働基準法第15条に基づく省令改正)。新たに追加された明示義務は、①就業場所・業務の変更範囲、②有期契約の更新上限、③無期転換申込機会の3点です。違反した場合の罰則は30万円以下の罰金(第120条)で、2024年4月以降の新規雇用・契約更新から適用されます。労働契約書・雇用通知書のフォーマット更新が必要です。

就業規則の作成・届出義務(第89条)

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています(労働基準法第89条)。就業規則には以下の絶対的必要記載事項を盛り込む必要があります。

  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇の定め
  • 賃金の決定・計算・支払い方法、締切・支払時期、昇給
  • 退職(退職の事由・解雇の事由を含む)

就業規則を労働者に周知させる義務(第106条)もあり、紙での掲示・電子的な閲覧環境の整備・配布のいずれかで対応します。

解雇ルール(第20条・第19条)

第20条:解雇する場合は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務があります。

第19条:業務上の傷病による休業期間中・産前産後の休業期間中は解雇が禁止されています。

解雇の有効性は労働契約法第16条(合理的理由がなく社会通念上相当でない解雇は無効)が主な判断基準です。不当解雇リスクを避けるには、就業規則への解雇事由の明記と指導・改善機会の記録が重要です。

適性検査との活用ヒント

労働基準法の実務は「法令を知っていること」だけでなく、「法令を守れる組織・人材を配置できること」がセットで求められます。適性検査はその観点で有効なツールになります。

誠実性(Big Five)が高い管理職は法令遵守・ルール設定を好む傾向があります。法務・コンプライアンス部門への配置や、36協定の上限管理を担う管理職の選定において、誠実性の高さは適材配置の根拠になります。

一方、適性検査の「神経症傾向」が高い社員は、長時間労働・法令違反環境でも声を上げにくい特性を持つ場合があります。こうした社員を事前に把握しておくことで、1on1での定期的な状況確認や、内部通報制度の案内といった予防的ケアに活かせます。

まとめ

  • 労働基準法第13条「最低基準の原則」により、法定基準を下回る労働契約は自動的に無効となり法律の基準が適用されます
  • 月60時間超の時間外労働の割増率は2023年4月から全企業で50%以上が義務化されています(従来の中小企業特例廃止)
  • 2024年4月施行の省令改正で、就業場所・業務の変更範囲・更新上限・無期転換申込機会の明示が新たに義務化されました
  • 常時10人以上の事業場は就業規則の作成・届出・周知が義務で、労働条件変更は就業規則の改定を通じて行います
  • 定期監督で64.4%の事業場に法令違反が見つかっている現状を踏まえ、特に「残業代計算」「36協定の上限管理」の2点は優先的に確認が必要です
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